■ある企画部門の事情
私の妻はキャラクタービジネス関連の企業で、商品企画を担当している。
季節やイベントにあわせたアイテムを発売するため、毎月数ヵ月後に発売するアイテムの企画の締め切りに追われている。例えば、先月はクリスマス関連の商品、今月はバレンタイン関連、といった具合である。
企画にあたっては、流行のデザインや人気のあるアイテムの種類を把握するために市場リサーチを行う。ネット上で調査することもあるが、実際に店舗に出向いて、競合他社の製品などを購入することが多い。
締め切り日が近くなると、リサーチに出かける時間も惜しくなる。そんなときに、他チームでリサーチした商品を参考にできるといいのだが、リサーチのために購入した商品はリサーチした本人が持っているだけで、チーム全体あるいは部署全体で共有されることはない。
■なぜ共有されないのか
リサーチした商品を写真と説明文つきで、共有する場があればよいと思うが、そもそもリサーチ結果を報告書としてまとめる慣習やルールがないらしい。
もちろんイントラにグループウェアがあり、掲示板や電子会議室などの情報を共有するインフラは整っている。ただ、毎月締め切りに追われて忙しいなかで、自主的に報告書を作成して他の社員と共有しよう、とはなかなか思わないようだ。
また、電子会議室は、公共の場で大勢に向かって発言するのと同じような感覚がある。
仮に自主的にリサーチ結果を共有しようと考えても、個人の意見を全体に向かって主張するようで、電子会議室への投稿は心理的敷居が高い。
■社内ブログで変わるのか
妻によれば、社員一人ひとりがイントラに自分のブログサイトをもつことが許可されれば、リサーチ結果の報告書作成が義務化されなくとも、自主的な情報発信が進むのではないか、とのことである。
社員のブログサイトはイントラの電子会議室のような公共の場ではなく、個人のスペースである。そこでは、何を考え何を発言しようと、ある程度自由だ。情報発信に対する心理的抵抗をまずクリアできる。
また、有用なリサーチ結果を提供した場合は、他の社員から感謝のコメントを寄せられるだろう。コメントやアクセス数など、自分の記事に対する反響は、情報提供に対する大きなインセンティブになる。リサーチのために選定した商品セレクトに対する、肯定的なコメントがあれば、自分のセンスは間違いがなかった、という確認もできる。
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#後編に続く。
個々のユニット(個人であったり小規模なチームであったり)が平行して類似の業務にあたっている場合には、社内ブログが有効である、というところでしょうか。
とすると、
1.平行して異質の業務にあたる場合
(例:多角経営で、個々のチームでの業務に重なる点が乏しい)
2.直列して異質の業務にあたる場合
(例:一つの大きなプロジェクトに会社全体であたっている)
なんて場合を考えると、社内ブログがどのような場面で有効かを知るヒントとなるかも。
あ、「直列して類似の業務にあたる場合」も組み合わせ上はあるけど、組織としては考えにくいので省きました。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2005-06-05 19:03