■部門を越えた情報共有
前編では企画部内のチーム間における情報共有についてみてきたが、企画部にとって営業部との情報共有も重要だ。
企画部では、ターゲット、現在の流行、他社製品との差別化ポイント、などを検討しながら商品企画を行う。しかし、営業部が目にする商品に関する情報は、商品の写真と若干のアピールポイントが記載された社内用カタログのみである。それだけでは企画の意図を十分伝えきれない。
企画部は、企画の意図を踏まえたセールスが行われていないと感じ、営業部は見込み客を説得する上での説明材料が不足している、と感じている。
一方で、営業部の知見も企画部には伝わらない。
営業部はデパートや量販店などのバイヤーにセールスを行う。大手デパートのバイヤーは、一度に大量購入するので、彼らの判断は営業成績に大きく影響する。
バイヤーは売れ筋商品の傾向や、今の流行に対する彼ら自身の認識や感性に基づいて商品を選定する。彼らは、少しでも自分の「読み」にあわないアイテムは購入しない。
「こういう商品があればもっと売れるし、コンペで他社に負けない。」営業部のスタッフの多くは、彼らなりの商品アイデアがある。
しかし、直接バイヤーと交渉する営業部から、バイヤーの判断基準や思考パターンが、商品開発を行う企画部へフィードバックされることは少ない。
バイヤーの意向を気にしすぎてもいけないが、バイヤーの商品選定基準は企画の際に参考にすべきだろう。
現在、営業部と企画部の間で組織的な情報交換は行われておらず、一部の仲の良い人たちと井戸端会議的な意見交換をするのみだそうだ。
この例は決して特殊なケースではなく、部門間の情報共有については、多くの会社で似たような状況がみられるのではないだろうか。
■社内ブログで会議を代替する
もちろん、企画部と営業部が合同で定例会議を開催することでも、問題は解決するだろう。
しかしそういった複数部署合同の打ち合わせは、
・会議の日程調整が難しく、出席者が少ない
・ファシリテーター不在のまま、それぞれが自分の意見を言い放して終わる
・議事録が不十分、または議事録そのものが共有されず、議論の結果が十分活用されない
といった状況に陥りがちである。
やがて参加者が会議の意義に疑問を持ち始め、会議自体が自然消滅する、というケースが多いのではないか。
社内ブログを導入すれば、対面での会議でありがちな上記のような状況を回避できる可能性がある。
社内ブログ上で、誰かが問題提起をする、別の誰かがコメントする、コメントに返信する、また別の誰かが違う観点でコメントする。
誰かが会議を企画しなくとも、ネット上で議論が自然発生するのである。コメントの投げ合いという、メールとチャットの中間のようなコミュニケーションのなかで、部門を越えた情報の共有と議論が行われる。そしてその結果は、誰でも好きなときに参照可能である。
■社内ブログ導入は可能か
妻は、企画部門の人間として、社内ブログに大きな可能性を感じているようだ。
私が話しを聞いた限りでも、社内ブログが導入されることによって、相当高いパフォーマンスの向上をチームに期待できると感じた。
機会があれば一度、社内で提案したいと言っている。
ただ、ブログはスケジュール管理や文書管理を行うグループウェアとは異なり、必ずしも「無いと業務に重大支障をきたす」というものではない。必要性を理解してもらえるだろうか。(もちろん、一度社内ブログが導入され、活用されはじめれば、なくてはならないツールになるに違いないが)
仮に導入されたとしても、果たして他のチームメンバーが積極的に記事投稿を行うかどうか、確信を持てないでいる。
導入の糸口はある。
会社の公式サイトとして、すでにエンドユーザーとの対話のためにブログサイトを開設しているそうだ。エンドユーザーからの反応がなかなか良いこともあって、ブログに対する社内の関心が急速に高まっているらしい。
社内にブログが導入された場合の社員間の情報交換の様子を、無料ブログサービスを利用して模擬してみせるなど、導入後のイメージを具体化して提案をすることで、社内ブログ導入が実現するかもしれない。
社内ブログでもグループウェアでもそうだと思うのですが、情報の回転(提供→参照→利用→提供)が滞ってしまうと利用されませんよね。
社内ブログの場合は情報提供および情報参照がグループウェアと比べると容易ではありますが、それはあくまで回転の効率の話。
いくらいい車輪がついていても、誰も押さなければ車は動きません。
むろん、小さな力で駆動できるという点で社内ブログは優れいているのですが。
リーダーによる率先垂範とか義務化とかという手はありますが、不可能だったりデメリットがあったり。
どのように駆動させるか、という部分までシステムに委ねるのは困難だと思われますし、うーん。
投稿情報: Hi-Low-Mix | 2005-06-08 12:43
やっぱりコアメンバーが盛り上げていく必要があると思います。
情報の回転を維持できない会社に対しては、外部の人間が補助輪をつけてあげる必要があるかもしれません。
投稿情報: 丹野 | 2005-06-09 00:15