ベンチャー企業ではたらく男のブログ

「社内ブログ」と聞いてイメージするもの

唐突だが「社内ブログ」の画面を思い浮かべてみてほしい。

あなたは次のどちらをイメージしただろうか。
１．ブログの記事ページ（単一のブログ）
２．ブログポータル（ブログの集合体）

（上記それぞれの例としては、ドリコム社のサイトで事例として紹介されている「梅花ブログ」の「ブログページ」と「ポータルページ」をご覧頂きたい。）

１を想起した人は、ブログの社内利用の目的を暗に情報共有だと考えている。例えば、議事録の共有、競合企業に関する情報、顧客の声などの共有だ。人によっては掲示板の代替システムと捉えている場合もある。

２を想起した人は、社内ブログに仮想コミュニティスペースでのオープンなコミュニケーション（相互理解）を求めている。

以上は私の仮説だ。

当然だが、社内ブログの有効性に関する議論では、まず導入イメージを一致させる必要がある。

社内ブログでのToDoリスト管理

自分自身のタスク整理のためと、上司や他の社員にそこはかとなく私の作業状況を知ってもらうために、社内ブログに毎日ToDoリストを投稿している。

一日のプランを整理してから仕事をするという、まあビジネスパーソンとしては当たり前の作業が、習慣化してなかなかよい。（読んでいる人がいるかどうかは不明だ。。。）

この習慣が社内で一般化すれば、
「あの人にお願いしたタスク、もうやってくれただろうか」
と気をもまずに済むのだが。

一ヶ月のToDoリストを一覧化して、
・計画から漏れているタスクがないか
・期待されている成果をアウトプットしているか
など、自分のパフォーマンスをセルフチェックできるようにすると面白いかもしれない。
ToDo管理機能をTiariに追加することを検討したい。
（人のToDoリストにタスクを追加できる、というのはやりすぎだろうか？）

既存のToDo管理ツールの中では、ネット上のサービスとして提供されているcheckpadに注目している。社内ブログツールと融合すると面白いかもしれない。

checkpadは「目標管理ツール」と称しているところが面白い。
ToDoリストは単なる備忘録的メモではなく、目標達成のためのツールである、ということなのだろう。

イントラブログが活用される条件

アキヒト氏のPOLAR BEAR BLOGで、「イントラブログが活用される３つの条件」があげられている。

1. 目的を限定しない

2. 詳細な報告を求めない

3. 書込みに対するインセンティブを設ける

これは私がイントラブログについて感じていることとほぼ一致している。
あえて付け加えるならば、
4.ブログポータルへのアクセスに対するインセンティブを設ける
というのもあるかもしれない。

これには2つ意味がある。
・「イントラブログにおいてはROMも立派な参加者であり、ROMを含めて社員の行動にどう影響を及ぼしたか」が重要であること（Toggy氏に頂いたコメントより）

・「関心を持つ⇒ROM⇒コメント投稿⇒日記投稿」のように段階的に社内ブログへの関与を深めてもらうこと。

Tiariではユーザーの血液型や出身地の集計や、スケジュールマッチング機能（作成中）など、ブログポータルへのアクセスを促すような工夫を盛り込んでいる。

もし社内ブログがなくなったら

もし今、会社からグループウェアがなくなったら、、、。スケジュール管理も会議室の確保もままならない。信じられないほど不便になる。

もし社内ブログがなくなったら？

不便じゃないけど、とても寂しいと思う。

もうこれ以上、情報はいらない。

あなた個人を振り返ってみよう。
情報の洪水にさらされ、辟易していないか。

ＲＳＳリーダーに登録したブログのうち、真剣に読むブログは一体いくつあるのか。

もう新しい情報はいらいない。そう思っていないだろうか。
最新の情報に常にキャッチアップしなくては、という焦りは幻想だ。本当はそう気がついているのではないか。今必要なのは、自分が本当に欲しているものは何かを、自分と向き合って考えることではないのか。

自分が欲しているものを知らなければ、情報はただのノイズである。

あなたの会社も同じだ。

社員をこれ以上、外部からの情報の洪水に溺れさせてはいけない。

あなたの会社の社員が知るべきことは、例えばこんなことだ。
・どんなパーソナリティの仲間と働いているのか
・となりの部署は何をしているのか
・自分たちが得意なことは何なのか
・自分たちはどこに向かうべきか

ノイズを遮断して、自分たちについて考えよう。

企業の多重人格症とイントラブログによる癒し

企業を人に例えるなら、コミュニケーションがとれていない風通しの悪い企業は、まるで多重人格障害のようだ。

多重人格障害では、一つのからだに複数の人格が存在し、それぞれの人格は他の人格が経験した出来事の記憶がない。

これは、営業部が顧客との対話で得た知見を、企画部の人間は全く知らない、といった状況に似ている。

社内ブログは、企業の中の複数の人格を一つに統合する「癒しのツール」なのだ。

社内ブログとインターネット上のブログの違い

インターネットでブログを初めて3ヶ月ほどたつが、新しい知識を獲得するツール、人的ネットワークを拡大するツールとしての有効性を実感している。

そして、社内ブログを導入してから既に半年以上たった。
インターネット上のブログがネットワークを外に向けて拡大していくツールであるとするならば、社内ブログはネットワークを濃縮するツールではないだろうか。

社内ブログのユーザーは、閉じられたネットワークの中で既存の関係性を強化し、自分たちを再発見していくのである。

・自分たちの会社はどんな人間で構成されているのか。
・自分たちの会社はどういう会社なのか、強みは何か。
・自分たちはどの方向に向かっているのか、進むべき方向はどこか。
・自分たちの会社で今何が起こっているのか。

「我々は何者で、どこへ行くのか。どこへ行くべきか」
社内ブログでのコミュニケーションは、自己分析に似たプロセスなのだ。

もちろん企業によって社内ブログの導入目的は異なるだろうが、私は上記のような考え方に基づいて、社内ブログツールTiariの機能設計を行っている。

グループウェアはブログ機能をもつべきか

従来型グループウェアと社内ブログは、一つのアプリケーションに統合されていたほうが、ユーザーとって利便性が高く、望ましいように思える。しかし果たしてそうだろうか。

弊社ではサイボウズを使っているので、サイボウズのトップページがブログのポータルを兼ねている様子を想像してみる。

人事からの通達（回覧板）や重要アポイントメント（スケジュール欄）と並んで、「昨日飲みにいきました」的なお気楽な記事タイトルが並んでいる・・・。雑談的記事の投稿を躊躇してしまう気がする。

社内ブログは遊びの要素を多く含み、それが円滑なコミュニケーションの下地を作る。「まじめな用途」のグループウェアとは同居させないほうがよいだろう。

また、グループウェアとブログを統合して、半ば強制的に全社員にブログの新着記事を通知すれば、「見たい人だけが見る」というブログが持つプル型メディアの長所が失われてしまう可能性がある。
社内ブログはルールのゆるい自由な発言の場として、アプリケーションとしてもインターフェースとしても明確に従来型グループウェアとは分けたほうがよいと思う。

ちなみにサイボウズでは自社の製品にブログ機能を追加する計画は今のところないようだ。（サイボウズＣＥＯ青野氏の記事、サイボウズの社内ブログを参照）

ポータル画面にプロフィール写真は必要か

Tiariのポータル画面は、ユーザーごとに表示内容が異なる。
例えば、自分以外の日記の新着情報や、自分がコメントした日記のその後のコメント数が表示される。（表示項目をユーザーがカスタマイズできるわけではない。）

Fig.1　マイポータル

ピックアップテーマ欄など表示項目が増えてきたため、ポータル画面のデザインを変更しようと考えているが、ポータル画面にユーザーのプロフィール写真欄が必要かどうか、迷っている。

他のユーザーからのビューではプロフィール写真が表示されたほうが当然よいが、ポータル画面で自分自身の写真を確認する必要性はあまりない。写真を削除すれば新着情報のスペースをもっと広げられる

ただ一方で、写真があったほうがより「マイポータル」としての親近感がわくようにも思う。

イントラブログは一過性のブームか

本業が忙しすぎて、なかなかブログを更新できない。
考察したい課題も色々とあるのだが。。。

イントラブログや社内SNSが注目されはじめているが、一過性のブームか企業内のコミュニケーションツールとして定着するか、正直なところまだわからない。

弊社の社内ブログは、少しずつ盛り上がりはじめているが、まだまだROMが多い。

自主的な情報発信が活発に行われようにするのは、実際大変だ。企業文化やコーディネーターの力量に依存するところが大きいかもしれない。

社内ブログは容易に導入できるが、導入後に苦労する企業が実は多いのではないか。

社内ブログは、企業文化を変革するツールではなく、変革する素地をもった企業が活用するツールなのではないか、とも思う。